スポンサーリンク

スカシユリ:鮮やかで上向きに咲く元気な花!初心者でも簡単に楽しめる育て方と魅力のすべて

オレンジ色系の花

スカシユリのPodcast

下記のPodcastは、Geminiで作成しました。

はじめに

この記事では、世界中で愛される魅力的な花、スカシユリに焦点を当て、その多様な種類、育て方、そして花言葉や文化的な背景について深く掘り下げていきます。スカシユリの鮮やかな色彩とユニークな形態は、多くの人々を魅了してきました。この記事を通じて、スカシユリの新たな一面を発見し、その奥深い世界に触れてみませんか?

スカシユリの基本情報

スカシユリは、その多様な姿と育てやすさから、世界中で親しまれている植物です 。過酷な海辺の岩場などでもたくましく育つ生命力を持っており、ガーデニング初心者にとっても非常に育てやすい優秀な花として知られています 。まずは、スカシユリを深く知るための基本的な植物データを一覧表で確認してみましょう。

スカシユリの基本情報一覧

写真
学名Lilium maculatum
ユリ科
属名ユリ属
英名Thunberg lily(スンベルグ・リリー) 、Elegant lily(エレガント・リリー)
原産地日本(東北地方から中部地方以北の海岸の岩場や砂地などに広く自生)
植物分類落葉多年草(冬季落葉性の秋植え球根植物)
開花期5月中旬から8月中旬(園芸品種は主に5〜6月頃、日本の原種は6月下旬〜7月中旬頃に見頃を迎えます)
花色オレンジ(野生種)、黄、白、ピンク、赤、複色(グラデーションや2色咲き)など多彩
別名岩百合(イワユリ)、岩戸百合(イワトユリ)、浜百合(ハマユリ)
花言葉「注目を浴びる」「飾らぬ美」「神秘的な美」「親思い」「子としての愛」「元気」「歓喜」「偽り」
誕生花の月日1月27日、2月18日、3月4日、3月12日、4月28日、6月5日、6月21日、7月18日、7月24日、7月27日

スカシユリの画像

下記は、Geminiで描いた画像です。

主な種類

スカシユリはその生育型や系統、交配の歴史的特徴によって、いくつかのタイプに分類されます。それぞれの特徴や魅力を詳しく見ていきましょう

タイプA:アジアティック・ハイブリッド(園芸品種群)

アジアティック・ハイブリッドは、日本原産のスカシユリやオニユリ、ヒメユリ、さらにはヨーロッパ原産のオレンジリリーなどを元に交配して作り上げられた、世界的な園芸品種群の総称です 。 草丈は30cmから100cm程度に収まるものが多く、鉢植えや庭の花壇に非常に適しています 。 花は鮮やかなオレンジ、イエロー、赤、白、ピンクなど色彩に富んでおり、ユリ特有の強い香りがほとんどないため、室内での観賞用や切り花としても人気を集めています 。病気に強く非常に強健なため、世界で最も品種数が多い系統とされています

タイプB:野生種(イワユリ・イワトユリ・ハマユリ)

日本の海岸沿いや厳しい岩場に自生している、スカシユリ本来 of 原種にあたるグループです 。 太平洋側の崖地などに分布するものを「イワトユリ(岩戸百合)」、日本海側の岩場に分布するものを「イワユリ(岩百合)」と呼んで古くから区別しています 。 強い潮風や厳しい塩害に耐えられるよう、茎や葉が非常に肉厚で丈夫に発達しているのが大きな強みです 。野生環境では、鮮やかな橙色の花びらに、赤褐色の細かい斑点が点々と入る美しい姿を見せてくれます

タイプC:八重咲き(ダブル)品種や特徴的な複色品種

近年の高度な交配技術によって生まれた、花びらが何重にも重なり合う豪華な「八重咲き」や、モダンな色彩の品種です 。 代表的な八重咲きのピンク色品種である「エロディー」やレモンイエローの「ファタモルガナ」は、おしべが花びらに変化(専門用語で「花弁化:かべんか」と呼びます)しているため、衣服や部屋を汚しやすい花粉が一切出ないという優れた特徴を持っています 。 また、中央が白で先端がピンク色の2色咲きになる「ロリポップ」など、庭の主役になる華やかな品種がこのタイプに含まれています

ユリの主要な系統比較表

日本のガーデニングでよく親しまれているユリの代表的な3大ハイブリッド系統の違いを以下の表にまとめました。スカシユリが属するアジアティック系統の特徴がよく分かります

系統名主な交配親(原種)花の向き香りの強さ主な特徴と魅力
アジアティック(スカシユリ)系 スカシユリ、オニユリ、エゾスカシユリなど 上向き ほぼ無香 草丈が低めで非常に丈夫。花色が極めてカラフルで、開花期が早い(初夏)
オリエンタル・ハイブリッド系 ヤマユリ、カノコユリ、ササユリなど 横向き〜下向き 非常に強い芳香 「カサブランカ」に代表される豪華な大輪種。草丈が高く、やや晩生(真夏咲き)
ロンギフローラム・ハイブリッド系 テッポウユリ、タカサゴユリなど 横向き 優しい甘い香り ラッパ状の筒形の花を咲かせる。気品のある純白の花が多く、切り花として重宝されます

スカシユリの形態描写:その多様な美しさ

スカシユリは、その独特な形態(植物の体のつくり)と色彩によって、見る人に多様な美しさを見せてくれます。

花の構造と色彩

多くのユリはうつむき加減や横を向いて咲きますが、スカシユリは太陽に向かって堂々と「上向き」に花を開くのが最大の特徴です 。 花の大きさは直径約10cmほどで、外側の「花被片(かひへん:ユリのようにがくと花びらの区別がつきにくい植物において、これらを総称した呼び方)」は6枚あります 。このうち、内側の3枚が「内花被(ないかひ)」、外側の3枚が「外花被(がいかひ)」と呼ばれます

和名の「透かし百合」という名前の通り、花被片の根元(基部:きぶ)がキュッと細くなっているため、花びらの間にすき間(透かし)ができており、向こう側の景色が透けて見えるというユニークな構造を持っています 。 花の中央には、1本の立派なめしべと、それを囲む6本のおしべがあり、おしべの先にはたっぷりと花粉を含んだ葯(やく:おしべの先端にある花粉が入った小さな袋)がついています

野生種のベースとなる色彩は、鮮やかな「橙色(オレンジ色)」で、花びらの内側には濃い赤褐色の斑点(はんてん:種小名であるmaculatumの「斑点のある」という意味に由来します)が点々と入ります 。 園芸品種では斑点のないノースポットの品種もあり、すっきりとした近代的な美しさを備えたものも多数誕生しています

葉の多様性と質感

スカシユリの葉は、茎に対して等間隔に、互い違いに生える「互生(ごせい)」という付き方をします 。葉の形は「披針形(ひしんけい:中央より少し下が最も太く、先端に向かって尖る、メスの刃のような細長い形)」をしており、長さは4〜10cmほどで、柄(え)がなく茎に直接ついています

海岸の砂地や岩場などの過酷な環境に適応してきた野生種のスカシユリは、潮風による塩害や乾燥から水分を守るために、葉が非常に肉厚で硬く、明らかな光沢(ツヤ)を持っています 。 この艶やかで濃い緑色の葉が、がっしりとした茎に等間隔に配置されているため、花が咲いていない時期であっても非常に美しい均整の取れた姿を楽しませてくれます

スカシユリの生態・生育サイクル

スカシユリの美しさを最大限に引き出すためには、その生態と生育サイクルを理解することが重要です。

適切な環境と育て方

スカシユリを健康に育てるためには、以下の5つのポイント(日照・水やり・土・肥料・温度)をしっかりと押さえる必要があります

  • 日照(ひっしょう:太陽の光が当たる具合): スカシユリは、とにかく「日当たり」と「風通し」が良い場所を好みます 。日光が不足すると、茎がひょろひょろと細長く伸びて弱くなってしまう「徒長(とちょう)」という現象が起こり、花の重みに耐えきれずに茎が折れてしまうおそれがあります 。
  • 水やり: 鉢植えの場合は、土の表面がしっかり白っぽく乾いたのを確認してから、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷりと水やりを行います 。常に土がジメジメと湿った状態が続くと、地中の球根が腐ってしまうため、水のやりすぎには十分注意が必要です 。庭植え(地植え)の場合は、雨に任せて問題ありませんが、日照りが続いて土が極端に乾燥している時だけ、朝か夕方にたっぷりと与えます 。
  • : 水はけ(排水性)と通気性が良く、同時に適度な水持ち(保水性)を兼ね備えた「弱酸性から中性(pH6〜7)」の土壌が最適です 。市販されている草花用の園芸培養土をそのまま使えば初心者でも安心です 。自分でブレンドする場合は、基本となる赤玉土(小粒)を7、腐葉土(落葉を分解させて作った有機質)を3の割合で均一に混ぜ合わせ、酸度をマイルドに調整してくれる「有機石灰(貝殻などを原料にした石灰)」を少量(小さじ半分程度)混ぜて作ります 。
  • 肥料: 球根を新しく植え付ける際、ゆっくりと長期間効果が持続する「緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)」を、土にあらかじめ元肥(もとごえ:最初に施す肥料)としてしっかり混ぜておきます 。春になって元気に芽が伸び始めたら、追肥(ついひ:追加で施す肥料)として、2週間に1回程度のペースで薄めた液体肥料を水やり代わりに与えるか、大粒の化成肥料を土の上に置き肥(おきごえ)します 。
  • 温度: 耐寒性は非常に高く、冬の厳しい寒さには非常によく耐えます 。むしろ、ユリの球根は冬の寒さ(およそ10℃以下の低温)に一定期間(6〜8週間以上)あたることで、春に芽を出す「休眠打破(きゅうみんだは)」というスイッチが入る生理的特性を持っています 。そのため、冬の間も室内に入れず、しっかりと屋外の寒さに当てて管理することが咲かせるための大きな秘訣です 。

季節ごとの管理

スカシユリの1年は、四季の変化に合わせたメリハリのある管理によって美しく輝きます

  • 春(新芽の成長と芽出し): 3月下旬から4月頃になると、土の中からみずみずしいタケノコのような新芽が勢いよく顔を出します 。このタイミングで、成長を力強くブーストさせるために「芽出し肥(めだしごえ:発芽後に最初に与える追肥)」として、置き肥や液体肥料を与え始めます 。
  • 夏(華やかな開花と花後のお手入れ): 5月下旬から7月にかけて、開花の最盛期を迎えます 。花びらが散り始めたら、種ができて球根のエネルギーを奪ってしまうのを防ぐため、花首(はなくび:花のすぐ下の部分)を手でポキッと折り取ります 。この作業を専門用語で「結実防止(けつじつぼうし)」と呼びます 。また、梅雨時期には「葉枯病(はがれびょう:葉に茶褐色の斑点ができて枯れ上がるカビによる病気)」が発生しやすいため、風通しを良くし、園芸用の殺菌剤を散布して予防します 。
  • 秋(地上部の枯死と球根の植え替え): 秋が深まり葉や茎がすっかり黄色く枯れてきたら、地際(地面すれすれの位置)からハサミで茎をきれいに切り落とします 。10月から11月上旬は、植え付けと植え替えの絶好のシーズンです 。鉢植えは球根が根詰まりしやすいため毎年植え替えを行い、庭植えでも2〜3年に一度は掘り上げて土を新しくリフレッシュさせます 。ユリの球根はチューリップなどとは違い、乾燥を防ぐための硬い皮(外皮)を持たない「鱗茎(りんけい)」であるため、掘り上げたら乾かさずにすぐ新しい場所に植え直します 。
  • 冬(休眠期の静かな管理): 地上部は何もなくなりますが、地中では春に向けた準備を進めています 。鉢植えは完全に乾燥させてしまうと球根が傷んで枯れてしまうため、冬の間も3〜4日に1回程度、比較的暖かい日の午前中に鉢底から流れるくらい優しく水やりを継続します。

繁殖方法

お気に入りのスカシユリを自分の手で増やすのは、園芸ならではの大きな喜びです。ユリは生命力が強く、いくつかの異なるアプローチで増やすことができます

挿し木(鱗片挿し)

ユリには枝がないため一般的な「枝の挿し木」はできませんが、その代わりに球根のうろこ状の葉を1枚ずつはがして土に挿す「鱗片挿し(りんぺんざし:または鱗片繁殖)」というユニークな挿し木技術があります 。 適期は8月下旬から9月上旬頃です 。十分に太った健康な親球根を掘り上げ、外側から2枚目あたりまでの肉厚な「鱗片(りんぺん:球根を構成する1片の組織)」を付け根から丁寧にはがします 。 はがした鱗片をきれいに水洗いし、殺菌剤でしっかりと消毒した後、バーミキュライトなどの清潔な用土に、鱗片の半分から3分の2程度が土に隠れるように挿し、日陰の涼しい場所で管理します 。2〜3ヶ月ほど経つと、鱗片の切り口から米粒のような小さな赤ちゃん球根(子球:しきゅう)が形成され、これを大切に育てることで、3〜4年後には立派な花を咲かせる球根へと成長します

葉挿し(むかごの植え付け)

こちらも多肉植物のような「葉っぱそのものを土に挿す葉挿し」はできませんが、一部のユリは、葉の付け根(葉腋:ようえき)に「むかご(養分を蓄えた小さな黒紫色の粒状の塊)」と呼ばれる栄養体を自然に形成します 。 このむかごは、植物学的には「葉や茎の一部が変化したクローン組織」であり、地上に落ちるとそこから自ら発根して新しい株に育つ性質を持っています 。 6月中旬から7月中旬に熟して簡単に外れるようになったむかごを収穫し、育苗箱に清潔な種まき用土を入れ、種をまくようにして浅く植え付けます 。乾燥させないように注意して1〜2年管理すると、驚くほど手軽に親とまったく同じ遺伝情報を持つクローンの球根を作ることができます 。なお、一般的なスカシユリの園芸品種ではむかごができにくい品種が多いため、この方法は主にむかごができる特定の原種や交配種で有効です

種まき(実生繁殖)

種からユリを育てる方法は「実生(みしょう)繁殖」と呼ばれ、10月から11月頃が種まきの適期です 。 ユリの種は、発芽のメカニズムによって2つのタイプに分かれています 。種をまくと翌春にすぐに本葉が出てくる「地上発芽型(ちじょうはつががた)」と、種をまいた後、一度夏の高温を経験してから地下で小さな球根を作り、冬の寒さを経てから初めて地上に葉を伸ばす「地下発芽型(ちかはつががた)」です 。 スカシユリの近縁種であるエゾスカシユリなどは、地下でまず球根を作るタイプに該当します 。種から育てたスカシユリが開花するまでには通常3〜4年以上の根気強い栽培管理が必要となりますが、異なる親同士を掛け合わせて「世界に一つだけの新しい品種」を作り出したいという熱心な愛好家にとっては、大変魅力的な繁殖方法です

株分け(分球と木子の分離)

最も一般的で成功率が高く、初心者にも推奨される安全な方法が「分球(ぶんきゅう)」と「木子(きご)の分離」を伴う株分けです 。 十分に大きく育った親球根は、秋の休眠期に掘り上げると、自然に2つから3つの球根に分かれていることがあります 。このとき、無理にハサミなどを使って切るのではなく、根が痛まないように手で優しく割るようにして分割します 。 また、親球根のすぐ上、地中に埋まっていた茎の節(ふし)の部分には、お米から小豆(あずき)サイズをした極めて小さな赤ちゃんの球根がいくつか付着しています 。これを「木子(きご・もくし)」と呼びます 。 秋の植え替え時に、この木子を茎からピンセットなどを使ってていねいに取り外し、小さな育苗ポットや平鉢に植え付けて1〜2年ほどじっくりと肥大させることで、手軽に何十倍もの株に殖やすことができます

スカシユリの花言葉・文化・歴史

スカシユリは、その美しいビジュアルだけでなく、非常に豊かでユニークな文化的物語や、日本から世界へと羽ばたいた劇的な歴史を持っています

花言葉とその意味

スカシユリには、その特徴的な開花スタイルや姿にちなんだ多様な花言葉がつけられています

  • 「注目を浴びる」: 他の多くのユリが恥ずかしそうにうつむいて咲くのに対し、スカシユリは顔をしっかりと太陽に向け、胸を張るようにして上を向いて堂々と咲き誇ります 。さらに、花びらの根元の透き間から美しい背景を覗かせるユニークな構造から、「誰もが目を留め、注目を浴びるにふさわしいスターのような花」という意味が込められてこの言葉がつけられました 。
  • 「飾らぬ美(かざらぬび)」: スカシユリの花は、目の覚めるような鮮やかな色彩で周囲を圧倒しますが、ユリを象徴するあのツンとした強い芳香が「ほとんど無い」という面白い特徴を持っています 。この、「外見は非常に華やかなのに、香りで自分を過剰に飾り立てない控えめな奥ゆかしさ」を捉えて、「飾らぬ美」という美しい花言葉が与えられました 。
  • 「親思い(おやおもい)」「子としての愛」: スカシユリが上を向き、降り注ぐ雨や太陽の恵みをいっぱいに受け止める姿が、親からの愛情を一身に受け止めて健気に育つ親思いの子供の姿を連想させることから、家族の深い絆を表現する花言葉が割り当てられています 。

誕生花としてのスカシユリ

スカシユリは主に初夏の「6月5日」「6月21日」「7月18日」「7月24日」「7月27日」の誕生花として深く愛されています 。 つぼみが次々と開花して、切り花にしても約10日以上と非常に日持ちがする丈夫な特性を持っているため、暑さが本格化する夏の時期のお祝いギフトや、母の日・父の日の感謝の気持ち(「親思い」のメッセージ)を込めたフラワープレゼントにまさにぴったりの主役級の花です

文化・歴史的背景

日本に広く自生しているスカシユリは、日本人の暮らしと深く結びついてきました 。室町時代には、その素朴でありながらも凛とした気品から、お茶の席を静かに彩る「茶花(ちゃばな)」として大変重調されてきた歴史があります

さらに、江戸時代に入ると日本全国で空前の園芸ブームが沸き起こり、多くのスカシユリの野生株が江戸の街に集められ、200種類を超える色鮮やかな栽培品種が作出されました 。 そして幕末から明治時代にかけて、これらの日本の美しいスカシユリの球根が、シーボルトらによってヨーロッパへと輸出されます 。 日本の「スカシユリ」や「エゾスカシユリ」は、ヨーロッパに伝わると現地のオレンジリリーと交配され、現在の世界的な一大グループである「アジアティック・ハイブリッド(アジア系のユリ)」の輝かしい生みの親(交配の母種)となったのです 。私たちが今日、世界中の花屋で見かけるカラフルなユリのルーツには、実は日本の海辺で咲いていた強健なスカシユリの遺伝子が脈々と受け継がれています

5. スカシユリの利用法

スカシユリは、ただ庭に植えて観賞するだけでなく、私たちの現代のライフスタイルに様々な温かい彩りを与えてくれる優れた可能性を秘めています

ガーデニングと室内装飾

草丈が比較的低くコンパクトにまとまるスカシユリは、様々なスタイルで楽しむことができます

  • 花壇・寄せ植え: お庭の最前列やボーダー(小道の両脇)に植えることで、初夏に素晴らしい色彩のアイキャッチを作ることができます 。また、他の背の低い宿根草や観葉植物と組み合わせた「寄せ植え」にも最適です 。
  • 吊り鉢(ハンギングバスケット): 極端な矮性品種(わいせいひんしゅ:遺伝的に草丈が低く育つように品種改良されたタイプ)を使用すれば、高い位置から吊るして上向きに咲くカラフルな花を立体的に見せる、おしゃれなハンギングバスケットとしても演出が可能です 。
  • 室内鉢植え: 強い香りがほとんどないスカシユリは、リビングのテーブルや玄関先、窓辺などに鉢植えのまま飾っても匂いが充満せず、上品な華やかさだけをプラスしてくれます 。
  • テラリウム: 通常のスカシユリはテラリウム(ガラス容器の中で植物を育てる方法)には大きすぎますが、非常に小さなミニチュア品種を用い、大きなガラス容器(ガラス温室やワーディアンケースなど)のなかに植栽することで、美しい箱庭風のミニチュアガーデンをガラス越しに楽しむモダンなインテリアとしても活用できます 。

エディブルフラワーとしての可能性

ユリの球根は、日本では古くからお正月のおせち料理や茶碗蒸しなどに欠かせない高価な食材「ゆり根(百合根)」として重宝されてきました

  • 食用としての利用例: ゆり根は非常に栄養価が高く、でんぷん(炭水化物)を豊富に含み、カリウムなどのミネラルも多いため、滋養強壮に優れた食材です 。加熱するとホクホクとした上品な甘みと、ねっとりとした独自の美味しい食感が引き立ちます 。
  • 【超重要】絶対に守るべき注意点: 食材として流通している安全な「ゆり根」は、苦味がなく肉厚で美味しい「コオニユリ」や「オニユリ」などの特定の食用種を、農家が何年もの歳月をかけて無農薬に近い安全な方法で専門的に栽培したものです 。 お花屋さんやホームセンターで「園芸・観賞用」として販売されているスカシユリの球根は、絶対に絶対に口に入れないでください 。これらは、地中での球根の腐敗や病気を防ぐために、あらかじめ強力な「殺菌剤」や「殺虫剤」などの農薬がたっぷりと染み込まされているため、食べると非常に深刻な急性薬物中毒を引き起こす危険性があり、生死に関わります 。

薬用・伝統的利用

東洋医学・漢方の世界において、ユリの球根(鱗茎)を乾燥させた生薬は「百合(びゃくごう)」と呼ばれ、二千年以上の長い歴史にわたって大切に使われてきました

  • 伝統的な漢方的効能
    1. 潤肺止咳(じゅんぱいしがい): 漢方では、秋の空気の乾燥や体内の水分不足によって呼吸器系が乾くと、長引く乾いた咳が出やすくなると考えます 。百合(びゃくごう)は高い保湿力で喉や肺をやさしく潤し、しつこい空咳や喉のヒリヒリとした痛みを鎮める優れた薬効を発揮します 。
    2. 清心安神(せいしんあんじん): 精神的な強いストレスや更年期、または大きな病気の後などで心(しん:自律神経や脳機能)に余分な熱がこもると、イライラ、焦燥感、理由のない不安感、不眠症、夢を多く見て眠りが浅い(多夢)などの症状が現れます 。百合は脳の興奮を鎮めてクールダウンさせ、神経をやさしく落ち着かせる作用(清心安神作用)に優れています 。
  • 医学的な注意点(禁忌:きんき): 百合(びゃくごう)は性質上、体に潤いを与えて少し冷ますという「寒潤(かんじゅん)」の性質を持っています 。そのため、冷えからくる風邪の初期の咳(風寒咳嗽:ふうかんがいしゅ)や、お腹が冷えやすく便が常にゆるい・下痢気味の人(中寒便溏:ちゅうかんべんとう)が服用すると、症状をかえって悪化させてしまうため禁忌(使用してはならないこと)とされています 。

【猫を飼っているご家庭への厳重な警告】

スカシユリをはじめとするすべてのユリ属の植物は、猫に対して「腎臓を急激に破壊する極めて強力な猛毒」になります 。 花、花びら、葉、茎、球根、そしてわずかな「花粉」に至るまで、植物のあらゆる部位が猫にとっては致命的です 。ユリを活けていた「花瓶の水を猫が数滴なめただけ」、あるいは「体に付いた花粉を毛づくろいでなめ取っただけ」というごく微量であっても、2〜4時間以内に突然の激しい嘔吐を起こし、12〜24時間後には急性腎障害(急性尿細管壊死:尿を作る組織が壊れる病気)を急速に進行させます 。 治療が数日でも遅れると、尿が完全に作られなくなる「無尿状態(むにょうじょうたい)」となり、数日で死亡に至る恐ろしい中毒です 。「猫の手が届かない高い場所に飾れば大丈夫」という油断は絶対禁物です 。猫のいるお家には、ユリの仲間は一輪たりとも絶対に持ち込まないようにしてください

まとめ: 尽きない魅力

この記事では、世界中で親しまれているスカシユリの基本情報、美しい花のつくり、失敗しない育て方、そして奥深い花言葉や世界へとつながる輝かしい歴史について解説しました。

スカシユリは、その美しい大輪の花を空に向けてダイナミックに咲かせる健気な姿で、私たちの毎日に元気なパワーを届けてくれます。初心者でも失敗しにくい強健な性質を備えているため、お庭やベランダの主役として、球根から育てる園芸の楽しさを教えてくれる最高のパートナーになってくれることでしょう。

ぜひ、この機会にスカシユリの尽きない魅力を実感していただき、季節とともに移り変わるみずみずしい緑と美しい花のある暮らしを楽しんでみてくださいね。

7. 参考資料

  1. 鉢植えのスカシユリの育て方(メダカの大工), https://www.medakanodaiku.xyz/2022/04/blog-post0408.html
  2. ユリの栽培管理と育て方のコツ(サカタのタネ 園芸お役立ち情報), https://sakata-tsushin.com/lesson-flower/detail_113/
  3. ユリの育て方・栽培方法(NHK出版 みんなの趣味の園芸), https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-218/target_tab-2
  4. スカシユリの開花そだレポ(NHK出版 みんなの趣味の園芸), https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=12385
  5. そだレポ:スカシユリの植え替え(NHK出版 みんなの趣味の園芸), https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=33606
  6. スカシユリ(イワユリ)(筑波実験植物園 植物図鑑),(https://tbg.kahaku.go.jp/recommend/illustrated/result.php?p=1&mode=easy&f=%E3%83%A6%E3%83%AA&order=ruby&name=%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%A6%E3%83%AA%EF%BC%88%E3%82%A4%E3%83%AF%E3%83%A6%E3%83%AA%EF%BC%89)
  7. スカシユリ (透百合) の特徴(はななに), https://hananani.com/plant-lilium-maculatum.html
  8. スカシユリとは – 山野草(UEKIPEDIA),(https://www.uekipedia.jp/%E5%B1%B1%E9%87%8E%E8%8D%89-%E3%82%B5%E8%A1%8C/%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%A6%E3%83%AA/)
  9. スカシユリの特徴・置き場所・水やり(オザキフラワーパーク), https://ozaki-flowerpark.co.jp/dictionary/6201/
  10. スカシユリの基本データ(世界の植物図鑑), https://www.flower-db.com/ja/flowers/lilium-maculatum
  11. ユリの花言葉・色別の意味(AND PLANTS), https://andplants.jp/blogs/magazine/flowerlanguage-lily
  12. スカシユリの花言葉と由来(HORTI), https://horti.jp/14796
  13. スカシユリの花言葉と特徴(Garden Story), https://gardenstory.jp/plants/75796
  14. 長井トレーニングセンター・ニュースブログ(ランニングトラックのお花), https://www.nagai-training.com/newsblog
  15. ユリの花言葉一覧・種類別(YOUKAEN), https://youkaen-store.com/blogs/column/column_lilium_01
  16. ユリの球根を鱗片で増やしてみよう(奈良県公式ホームページ), https://www.pref.nara.lg.jp/n120/16472.html
  17. ユリの育て方と鱗片繁殖(フラワーミモザ), http://flower777.mimoza.jp/pages/user/m/article?article_id=40752761
  18. ユリの殖やし方:子球・鱗片挿し・むかご(並木順子 note), https://note.com/junko_namiki/n/nf8744c509df7
  19. ユリの増やし方:分球・木子・むかご・種まき,(https://xn--9dki.net/%E3%83%A6%E3%83%AA%E3%81%AE%E5%A2%97%E3%82%84%E3%81%97%E6%96%B9/post-353.html)
  20. スカシユリの別名と誕生花(Chills Lab), http://chills-lab.com/flower/su-ka-01/
  21. スカシユリの見頃と自然教育(三浦半島自然図鑑), https://mirusiru.jp/nature/flower/sukashiyuri
  22. 7月18日の誕生花:透し百合(誕生花と花言葉のプレゼント), https://tanjyoubana.jp/146_1.html/
  23. スカシユリの英語名と名前の由来(i879), https://www.i879.com/birth/column/06/
  24. ゆり根の食べ過ぎとペットへの毒性(食べられ.com), https://www.taberare.com/article/blog/post-5463
  25. ユリ根には毒がある?食べ方と注意点(GreenSnap), https://greensnap.jp/article/10347
  26. ユリ根の食用と毒性の違いについて,(https://xn--9dki.net/%E3%83%A6%E3%83%AA%E6%A0%B9/post-418.html)
  27. 漢方における生薬「百合(びゃくごう)」の役割, https://raomaahinabebou.jp/kampo/detail/927039/
  28. 漢方にも使われる「ユリ根」の効能と薬膳レシピ(ヤクヨミ), https://yakuyomi.jp/knowledge_learning/chinese_medicine/01_081/
  29. 生薬「百合(びゃくごう)」の中医学的効能(楽楽堂),(https://www.rakurakudo.com/%E8%96%AC%E8%86%B3%E8%8C%B6-%E8%96%AC%E8%86%B3%E9%A3%9F%E6%9D%90%E3%81%AE%E8%A9%B3%E3%81%97%E3%81%84%E8%AA%AC%E6%98%8E/%E5%B8%B8%E5%82%99%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84%E8%96%AC%E8%86%B3%E9%A3%9F%E6%9D%90/%E7%99%BE%E5%90%88/)
  30. アジアティックハイブリッド系ユリの生理・生態的特性(青森県営農指導資料), https://www.nounavi-aomori.jp/farmer/wp-content/uploads/2022/11/167435_167_1_3009.pdf
  31. アジアティック・ハイブリッド園芸種の歴史(三河の野草), https://mikawanoyasou.org/data/yuri-asiatic.htm
  32. アジアンティック・ハイブリッド(世界の植物図鑑), https://www.flower-db.com/ja/flowers/liliumx-elegans
  33. アジアティック系ユリの品種(アビニョン、エロディーなど), http://michikusasyasoroku.blog.fc2.com/blog-entry-49.html
  34. 猫がユリを食べた場合に引き起こされる中毒症状(SBIペット), https://www.sbipet-ssi.co.jp/column/cat/C0127.html
  35. 猫のユリ中毒について(だん動物病院), https://www.dan-vet.com/wp_news_info.php?p=245
  36. 猫に危険なお花リストと中毒死(猫花), https://nekohana.jp/blogs/blog/cat-toxic-flowers-list
  37. 猫がユリを食べたときの応急処置(PS保険), https://pshoken.co.jp/note_cat/cat_ngfood/case016.html
  38. 漢方生薬「百合(びゃくごう)」の使用上の注意点と禁忌(ヤクヨミ), https://yakuyomi.jp/knowledge_learning/chinese_medicine/01_081/

コメント

タイトルとURLをコピーしました