エリゲロン完全ガイド：育て方から庭での活用法まで

エリゲロン完全ガイド：育て方から庭での活用法までのPodcast
ストーリーブック
はじめに
エリゲロンの基本情報
1. エリゲロンの写真
エリゲロンとは？
主な種類と園芸品種
育て方の基本
年間の手入れと管理
増やし方
病害虫と対策
1. 主な病害虫
2. 予防と対策
庭での楽しみ方
園芸用語の解説
まとめ
参考資料

エリゲロン完全ガイド：育て方から庭での活用法までのPodcast

下記のPodcastは、Geminiで作成しました。

ストーリーブック

はじめに

ガーデニングを始めたいけれど、何から手をつけていいか分からない。そんな初心者の心強い味方になってくれるのが「エリゲロン」です。春から秋まで途切れることなく可憐な花を咲かせ、驚くほど丈夫で手間いらず。この記事では、エリゲロンの基本的な情報から、詳しい育て方、庭での楽しみ方まで、その魅力を余すところなくご紹介します。

エリゲロンの基本情報

写真
学名	Erigeron\;karvinskianus (エリゲロン・カルビンスキアヌス)
科	キク科
属名	ムカシヨモギ属（エリゲロン属）
英名	Erigeron
原産地	メキシコ～中央アメリカ
植物分類	耐寒性宿根草（多年草）
開花期	4月～11月
花色	白からピンクへ変化
別名	メキシコヒナギク、ムキュウギク（無休菊）
花言葉	「遠くから見守ります」「感謝」「友情」「移り気」
誕生花の月日	5月27日

エリゲロンの写真

2022年7月22日の別荘に行く途中の横川サービスエリアの花のガーデンで見かけたエリゲロンの白とピンクの花を「Xiaomi Redmi Note 10 Pro」で撮影しました。

また、下記は2022年9月28日に自宅付近を散歩していて見かけた「エリゲロン」を「Xiaomi Redmi Note 10 Pro」で撮影した写真です。

エリゲロンとは？

小さな花に秘められた大きな魅力

エリゲロンは、キク科ムカシヨモギ属（エリゲロン属）に分類される植物です。園芸で主に栽培されるものは、冬になると地上部が枯れても根は生き続け、春に再び芽吹く「耐寒性宿根草」に分類されます。一度植えれば毎年その姿を楽しめるため、コストパフォーマンスにも優れています。

この植物の最大の魅力は、なんといってもその長い開花期間です。早いものでは4月頃から咲き始め、11月頃まで次々と花を咲かせ続けます。庭の彩りが少なくなる時期にも咲き続けてくれるため、ガーデニングの満足感を長く味わうことができます。花は直径1.5cmから2cmほどの小菊のような愛らしい姿で、特に人気のカルビンスキアヌス種は、咲き始めは白く、時間が経つにつれてピンク色に変化していく特徴があります。これにより、一株の中に白とピンクの花が混在し、まるでグラデーションのような美しい景色を生み出します。

エリゲロンが特に初心者におすすめされる理由は、その驚異的な生命力にあります。

強健な性質：暑さにも寒さにも強く、品種によってはマイナス15℃程度の低温にも耐えることができます。
少ない手入れ：多くの肥料を必要とせず、一度根付けば乾燥にも強いため、水やりの頻度も少なくて済みます。むしろ、少し放任気味に育てるくらいが丁度よいとさえ言われています。
旺盛な生育力：横に広がるように旺盛に成長し、空いているスペースをあっという間に覆ってくれます。

この強健さを最も象徴するのが、コンクリートや石垣のわずかな隙間からでも芽を出し、花を咲かせる姿です。初めて植物を育てる方は、「完璧な環境を整えなければ枯らしてしまうのではないか」という不安を抱きがちです。しかし、舗装の割れ目のような過酷な場所でも生き抜くエリゲロンの姿は、その生命力の何よりの証明です。多少の水やり忘れや、理想的とは言えない土壌といった、初心者が犯しがちな小さな失敗をものともしない寛容さが、ガーデニングへの第一歩を踏み出す大きな自信を与えてくれるでしょう。

身近な野草との関係

道端や空き地でよく見かけるハルジオンやヒメジョオン。実はこれらの野草も、園芸種のエリゲロンと同じエリゲロン属の仲間です。多くの人が雑草として認識しているこれらの植物が持つ、環境への適応能力や繁殖力の強さといった性質は、園芸種のエリゲロンにも色濃く受け継がれています。園芸用エリゲロンは、いわば身近な野草のたくましさと、園芸植物としての美しさを兼ね備えた、非常に優れた植物なのです。

和名と花言葉の由来

園芸店で最もよく見かけるエリゲロン・カルビンスキアヌスには、趣のある和名がいくつかあります。その由来を知ることで、この植物への愛着がさらに深まるでしょう。

源平小菊（げんぺいこぎく）：この名前は、花の色が白からピンク（赤）へと変化することに由来します。日本の歴史における源平合戦で、源氏が白旗を、平家が赤旗を掲げたことは有名です。一株に白と赤の花が入り乱れて咲く様子を、両軍の旗が戦場で入り乱れる様に見立てた、非常に風流な名前です。
ペラペラヨメナ：少し変わった響きのこの名前は、植物の見た目の特徴を的確に捉えています。「ヨメナ」は日本に自生するキク科の植物で、エリゲロンの花がそのヨメナに似ていることから名付けられました。そして「ペラペラ」は、葉が薄い様子を表す言葉です。その他にも、原産地にちなんで「メキシコヒナギク」と呼ばれることもあります。

エリゲロンには、その奥ゆかしい姿にぴったりの花言葉があります。代表的なものは「遠くから見守ります」という言葉です。これは、白とピンクの花が混在する様子を源平合戦の旗に見立て、戦場で互いを見守り合う姿をイメージしたものです。また、花色が白からピンクへと変わることから「移り気」という花言葉もあります。その他にも「感謝」や「友情」といった心温まる花言葉も持っており、遠くにいる大切な人への贈り物にも最適です。エリゲロンは5月27日の誕生花としても知られています。

主な種類と園芸品種

エリゲロン属には約200もの種類があり、その性質は多岐にわたります。ここでは、ガーデニングで主役となる代表的な種類と品種をご紹介します。ご自身のレベルやお庭の環境に合ったエリゲロンを見つけるための参考にしてください。

エリゲロン・カルビンスキアヌス

園芸店で「エリゲロン」として販売されている苗のほとんどは、このエリゲロン・カルビンスキアヌス (Erigeronkarvinskianus) です。メキシコから中央アメリカが原産ですが、今では世界中の温帯地域に広がり、日本でも半ば野生化するほど環境適応能力が高い種類です。

地面を這うように横に広がる性質（匍匐性）を持ち、グランドカバーに最適です。前述の通り、咲き始めの白い花が徐々にピンク色に変化するのが最大の特徴です。特に「プロフュージョン」という選抜品種は、花付きが良く丈夫で、広く流通しています。ガーデニング初心者の方が最初に選ぶなら、まず間違いのない種類と言えるでしょう。

アズマギク

アズマギク (Erigeronthunbergii) は、日本に自生するエリゲロンの仲間で、山野草として扱われます。淡い紫色の美しい花を咲かせますが、その栽培は上級者向けとされています。

栽培が難しい最大の理由は、日本の夏の高温多湿に非常に弱い点にあります。涼しい高山の気候に適応した植物であるため、平地の蒸し暑い夏を乗り切るには特別な管理が必要です。具体的には、水はけを極限まで高めた山野草専用の培養土を使い、夏場は直射日光を避けた風通しの良い半日陰で管理するなどの工夫が求められます。初心者がカルビンスキアヌスと同じ感覚で育てると、夏に枯らしてしまう可能性が非常に高いです。その美しさに惹かれても、まずは育てやすいカルビンスキアヌスで経験を積んでから挑戦することをおすすめします。

その他の園芸品種

カルビンスキアヌスやアズマギク以外にも、エリゲロンには個性的な園芸品種が存在します。これらは一般的な園芸店ではあまり見かけませんが、専門的な品揃えの店や通販などで手に入れることができます。

‘ロサ・ジュエル’ (‘Rosa Juwel’)：‘ローズ・ジュエル’とも呼ばれる交配品種です。カルビンスキアヌスとは異なり、茎が立ち上がる立性タイプで、やや大きめのピンク色の花をたくさん咲かせます。
オウレウス ‘カナリー・バード’ (E.aureus ‘Canary Bird’)：草丈がわずか5cmほどの小型種で、淡い黄色のデージーのような花を咲かせます。ロックガーデンなどに最適な品種です。
‘アズールフェアリー’ (‘Azure Fairy’)：美しいラベンダーブルーの花色が特徴の品種です。花茎がすっと立ち上がり、分岐してたくさんの花を咲かせ、切り花としても楽しめます。
オーランチアカス (E.aurantiacus)：草丈20～30cmほどになり、鮮やかなオレンジ色の花を咲かせるユニークな種類です。

種類/品種名	主な和名	特徴	草丈	開花期	栽培難易度
エリゲロン・カルビンスキアヌス	ゲンペイコギク、ペラペラヨメナ	白からピンクに花色が変化。匍匐性で強健。	10～30cm	4月～11月	★☆☆☆☆ (容易)
アズマギク	アズマギク	日本の山野草。高温多湿に弱い。	15～30cm	5月～6月	★★★★☆ (難しい)
‘ロサ・ジュエル’	–	大輪のピンク花。立性。	30～40cm	晩春～秋	★★☆☆☆ (普通)
‘カナリー・バード’	–	淡い黄色の花。草丈5cmほどの小型種。	約5cm	初夏	★★★☆☆ (やや難しい)
‘アズールフェアリー’	–	ラベンダーブルーの花。立性で切り花向き。	30～40cm	初夏～秋	★★☆☆☆ (普通)

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育て方の基本

エリゲロンの栽培は非常に簡単ですが、いくつかの基本的なポイントを押さえることで、より健康で美しい株に育てることができます。

栽培環境：日当たりと置き場所

エリゲロンを元気に育てるための最も重要な要素は、「日当たり」と「風通し」です。

日当たり：日当たりの良い場所を好みます。日光を十分に浴びることで花付きが格段に良くなります。ただし、非常に丈夫なカルビンスキアヌス種は、多少日当たりの悪い半日陰でも育ちますが、その場合は花数が少なくなる傾向があります。
風通し：エリゲロンは多湿を嫌うため、風通しの良さは病気を防ぐ上で非常に重要です。株が密集しやすい場所や、壁際で空気がよどむような場所は避けるのが賢明です。
置き場所：地植えの場合は、日当たりと風通しが良く、やや乾燥気味の場所を選びましょう。雨が降った後に水が溜まるような水はけの悪い場所は避けてください。

用土：水はけの良さが最重要

エリゲロンは土質をあまり選びませんが、唯一の絶対条件は「水はけが良いこと」です。根が常に湿った状態にあると根腐れを起こしやすいため、この点には特に注意が必要です。

市販の土を使う場合：一般的な草花用の培養土で問題なく育ちます。
自分で配合する場合：赤玉土（小粒）7に対して腐葉土3の割合で混ぜたものが基本の配合例です。
鉢植えの場合：水はけが悪くなりがちな大きすぎる鉢は避けましょう。もし大きな鉢を使いたい場合は、鉢底石を多めに入れることで排水性を高めることができます。
アズマギクの場合：高温多湿に弱いアズマギクを育てる場合は、さらに水はけを重視し、山野草用の培養土を使用するのが必須です。

水やり：乾燥気味に管理

エリゲロンの管理で最も失敗しやすいのが水のやりすぎです。乾燥に強い性質を理解し、控えめな水やりを心がけましょう。

鉢植えの場合：土の表面が完全に乾いたのを確認してから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。そして、次の水やりは再び土の表面が乾くまで待ちます。この「乾湿のメリハリ」が根を健康に保つ秘訣です。
地植えの場合：一度根付いてしまえば、基本的に水やりの必要はありません。真夏に雨が降らない日が長く続くような場合のみ、様子を見て水を与える程度で十分です。

肥料：与えすぎは禁物

エリゲロンは痩せた土地でも育つほど丈夫なため、肥料の与えすぎは禁物です。過剰な肥料は、かえって株を弱らせる原因になります。

肥料が多すぎると、花付きが悪くなるだけでなく、葉や茎ばかりが軟弱に茂ってしまいます。このように茂りすぎた株は、内部の風通しが悪化し、湿気がこもりやすくなります。日本の梅雨や夏の高温多湿な環境下では、この湿気が原因で株が蒸れて腐ったり、病気が発生したりするリスクが急激に高まります。つまり、肥料を控えることは、エリゲロンを元気に夏越しさせるための重要な戦略なのです。

地植えの場合：基本的に肥料は不要です。植え付け時に土に腐葉土などを混ぜ込んでおけば、それで十分です。
鉢植えの場合：春と秋の生育期に、緩効性の化成肥料を少量施す程度で十分です。規定量の半分を目安にするなど、ごく控えめに与えるのがポイントです。

植え付け・植え替え

エリゲロンの植え付けや植え替えは、株への負担が少ない気候の良い時期に行うのが基本です。

適期：真夏と真冬を避けた、春（3月～5月）と秋（9月～10月）が最適な時期です。
苗の植え付け：
1. ポットから苗をそっと取り出し、根が固く回っている場合は軽くほぐします。
2. 植え穴に苗を置き、元のポットの土の高さと同じになるように植え付けます。
3. 植え付け後は、水をたっぷりと与えて土と根を落ち着かせます。鉢植えの場合は、水やりの際に水が溜まるスペース（ウォータースペース）を鉢の縁から2～3cmほど確保しておきましょう。
植え替え：
- 鉢植え：根詰まりを起こしやすいため、1～2年に一度、一回り大きな鉢に植え替えます。
- 地植え：株が大きく混み合ってきたら、2～3年ごとに株分けを兼ねて植え替えると、株が若返り、蒸れによるトラブルを防ぐことができます。

年間の手入れと管理

エリゲロンは基本的に放任でも育ちますが、いくつかの簡単な手入れを行うことで、より美しく健康な状態を長く保つことができます。

切り戻し

「切り戻し」とは、伸びすぎた茎や枝を途中で短く切り詰める作業のことです。エリゲロンにとって、この作業は特に重要な意味を持ちます。

切り戻しを行う目的は大きく二つあります。

健康維持（蒸れの防止）：これが最も重要な目的です。エリゲロンは生育旺盛なため、放置すると株の中心部が密集し、風通しが悪くなります。特に湿度の高い梅雨時期や夏場は、この密集した部分に湿気がこもり、株が蒸れて腐ってしまう「蒸れ」という状態になりがちです。梅雨入り前に思い切って切り戻しを行うことで、株全体の風通しが劇的に改善され、夏越しが格段に楽になります。
美観の維持と再開花：春から咲き続けた株は、初夏になると形が乱れてだらしない印象になりがちです。一度全体を切り戻すことで、株姿がコンパクトに整い、新しい芽の成長が促され、再び美しい花を咲かせてくれます。

切り戻しの方法はとても簡単です。花が一通り咲き終わったタイミングで、株全体の草丈が半分くらいになるのを目安に、ハサミで大胆に刈り込みます。難しく考えず、ドーム状の形をイメージして刈り込むと良いでしょう。

花がら摘み

咲き終わった花をこまめに摘み取る作業です。これをすることで、植物が種を作るのに使うエネルギーを新しい花を咲かせる方へ回すことができ、花付きが良くなります。ただし、後述する「こぼれ種」でエリゲロンを増やしたい場合は、花がらを全て摘まずに、いくつか残しておく必要があります。

夏越しと冬越し

夏越し：エリゲロンの夏越しの最大の課題は「高温多湿」です。これを乗り切るための最も効果的な対策が、梅雨入り前の「切り戻し」による風通しの確保です。鉢植えの場合は、強い西日が当たる場所を避け、涼しい半日陰に移動させるのも有効です。特に暑さに弱いアズマギクの場合は、遮光ネットを利用するなど、より積極的な暑さ対策が不可欠です。
冬越し：エリゲロンは耐寒性が非常に高いため、ほとんどの地域では地植えの場合、特別な防寒対策は不要です。冬には地上部が枯れてなくなりますが、春になると根から元気に芽吹いてきます。鉢植えの場合は、寒さが厳しい地域では軒下など霜や寒風が直接当たらない場所に移動させると、根へのダメージを軽減できます。晩秋に枯れた茎葉を地面の際で刈り取っておくと、冬越し中の株周りがすっきりし、春の新しい芽吹きをきれいに迎えることができます。

増やし方

エリゲロンの魅力の一つは、その旺盛な繁殖力にあります。少しのコツで簡単に増やすことができるので、お庭のいろいろな場所をエリゲロンの花で彩ってみましょう。

こぼれ種

エリゲロンを増やす最も簡単な方法は、「こぼれ種」に任せることです。「こぼれ種」とは、植物から自然に落ちた種が、人の手を介さずに発芽して育つことを指します。

この性質により、エリゲロンは植えた覚えのない石垣の隙間やレンガの目地など、思いがけない場所から顔を出すことがあります。この偶然性が、まるで自然の風景を切り取ったかのような、ナチュラルで趣のある庭を演出してくれます。こぼれ種で増やすには、花が終わった後も花がらを全て摘み取らず、自然に種が落ちるまで待つだけでOKです。もし増えすぎて困る場合は、不要な芽を早めに抜き取ることで簡単に管理できます。

株分け

「株分け」は、大きく育った株を掘り上げて、根が付いた状態でいくつかに分割して増やす方法です。この作業には二つの大きなメリットがあります。一つは、もちろん植物を増やすこと。もう一つは、古くなった株を分割することで、株全体を若返らせる「更新」の効果です。大きく密集した株は中心部が蒸れやすくなるため、定期的な株分けは健康維持にも繋がります。

株分けの適期は、植え付けと同じく春か秋です。スコップなどで株全体を掘り上げ、手やハサミ、ナイフなどを使って根を傷つけすぎないように分割し、それぞれを新しい場所に植え付けます。

種まき・挿し木

より計画的に増やしたい場合は、種まきや挿し木に挑戦するのも良いでしょう。

種まき：適期は暖地では秋、寒冷地では春です。3月～4月、または9月～10月が目安となります。育苗箱やポットに種をまき、薄く土をかぶせて乾燥させないように管理します。本葉が2～3枚になったら、一本ずつポットに植え替えて苗を育てます。
挿し木：エリゲロンは挿し木でも増やすことができます。元気な茎を5～10cmほどの長さに切り、下のほうの葉を取り除きます。その茎を湿らせた土に挿し、根が出るまで明るい日陰で管理します。

病害虫と対策

エリゲロンは非常に丈夫な植物で、適切な環境で育てていれば病害虫の被害に遭うことはほとんどありません。しかし、まれに発生する可能性のあるトラブルと、その対策について知っておきましょう。

主な病害虫

アブラムシ：最も発生しやすい害虫です。主に新芽や蕾に集まって汁を吸い、植物の生育を妨げます。見つけ次第、テープなどで取り除くか、勢いの良い水で洗い流しましょう。数が多い場合は、市販の殺虫剤を使用します。
うどんこ病：葉の表面に白い粉をまぶしたようなカビが生える病気です。日当たりや風通しが悪い、湿度の高い環境で発生しやすくなります。
灰色かび病：花や葉に灰色のカビが生え、やがて腐敗する病気です。低温多湿で風通しが悪いと発生します。

予防と対策

エリゲロンの病害虫対策で最も重要なのは、治療よりも「予防」です。そして、その最善の予防策は、これまでに何度も触れてきた「日当たりと風通しの良い環境を確保すること」に尽きます。

特に、「切り戻し」は、単に株姿を整えるだけでなく、病害虫を防ぐための最も効果的な手段です。株が密集して内部の風通しが悪くなることが、うどんこ病や灰色かび病といった病気の最大の原因です。梅雨前や夏前に株を切り戻して風の通り道を作ってあげることは、これらの病気を未然に防ぐための、いわば「予防接種」のような作業なのです。

その他、株と株の間隔を適切に空けて植える、水やりは株元に行い葉にかけないようにするといった基本的な管理も、病気の予防に繋がります。もし病気が発生してしまった場合は、被害が広がらないように、病気にかかった部分を速やかに取り除いて処分しましょう。

庭での楽しみ方

丈夫で育てやすいエリゲロンは、庭の様々なシーンで活躍してくれる万能選手です。ここでは、エリゲロンを使ったガーデニングのアイデアをいくつかご紹介します。

グランドカバー

横に広がる性質を持つエリゲロンは、地面を覆う「グランドカバー」として最もよく利用されます。地面が植物で覆われることで、雑草が生えにくくなる、土の乾燥や雨による流出を防ぐといった実用的なメリットがあります。春から秋まで続く花の絨毯は、庭の景観を格段に美しくしてくれます。

石垣や小道の隙間に

わずかな土でも育つことができるエリゲロンの特技を活かせるのが、ロックガーデンや石垣、レンガ敷きの小道や階段の隙間です。石などの硬質な素材の間にエリゲロンが入り込むことで、角が取れて柔らかく、ナチュラルで年月を経たような趣のある雰囲気を演出することができます。

寄せ植え

繊細な葉と小さな花を持つエリゲロンは、鉢植えやハンギングバスケットの寄せ植えでも名脇役として活躍します。鉢の縁からふんわりとあふれるように咲く姿は、主役の花を引き立てつつ、寄せ植え全体に軽やかさとまとまりを与えてくれます。

相性の良い植物

エリゲロンは、他の植物との組み合わせも楽しめます。特に、バラや宿根草など、株元が寂しくなりがちな背の高い植物の足元に植える（下草にする）と、お互いを引き立て合います。バラ、ゼラニウム、ペチュニアなどとの相性も抜群です。

ただし、注意点もあります。エリゲロンは生育旺盛なため、ネモフィラやワスレナグサといった、成長がゆっくりで繊細な草花と一緒に植えると、エリゲロンに覆われて負けてしまう可能性があります。組み合わせる際は、相手の植物の性質も考慮しましょう。

園芸用語の解説

この記事で使われている専門用語について、初心者の方にも分かりやすく解説します。

宿根草（しゅくこんそう） 冬や夏など、生育に適さない時期になると地上部（葉や茎）は枯れますが、地下の根は生きていて、気候が良くなると再び芽を出して成長する植物のことです。多年草の一種です。
切り戻し（きりもどし） 伸びすぎた枝や茎を、途中で短く切り詰める作業のことです。株の形を整えたり、脇芽の成長を促して花数を増やしたり、風通しを良くしたりする目的で行います。
株分け（かぶわけ） 大きく成長した植物の株を、根が付いた状態で複数に分割する作業です。植物を増やす方法の一つであると同時に、古くなった株を若返らせる効果もあります。
こぼれ種（こぼれだね） 植物がつけた種が、人の手によって採り蒔きされるのではなく、自然に地面に落ちて発芽すること、またその種自体のことを指します。手間をかけずに植物が自然に増えていく様子を表現する言葉です。
グランドカバー 地面（グラウンド）を覆う（カバー）性質を持つ、背丈の低い植物の総称です。雑草の発生を抑えたり、土壌の乾燥や流出を防いだり、景観を美しくしたりする目的で利用されます。
匍匐性（ほふくせい） 植物の茎が地面を這うように横に伸びて広がる性質のことです。グランドカバープランツによく見られる特徴です。

まとめ

エリゲロンは、春から秋まで白からピンクへと変化する愛らしい花を咲かせ続ける、非常に丈夫で育てやすい宿根草です。ガーデニング初心者の方でも安心して育てることができ、その強健な性質から、少し放置気味なくらいでも元気に育ちます。

日当たりと水はけの良い場所を好み、過剰な水やりや肥料は避けるのが元気に育てるコツです。特に、梅雨前の切り戻しは、夏の蒸れを防ぎ、株を健康に保つための重要な作業となります。

グランドカバーや石垣の隙間、寄せ植えの名脇役として、庭の様々なシーンで活躍します。こぼれ種でも自然に増えていくため、ナチュラルで趣のある庭づくりにぴったりの植物です。この記事を参考に、ぜひエリゲロンをあなたのガーデンに迎えて、その可憐な花の魅力を長く楽しんでみてください。

参考資料

エリゲロン｜初夏から秋まで花が咲くグランドカバー, https://lovegreen.net/perennial/p290371/
放置気味でも長期間たくさん花が咲く注目の宿根草・エリゲロンの育て方, https://magazine.cainz.com/article/172975
エリゲロンの育て方・栽培方法｜植物図鑑, https://lovegreen.net/library/flower/p125541/
エリゲロンの育て方｜グラウンドカバーや寄せ植えで楽しむ, https://gardenstory.jp/gardening/29045
エリゲロンの育て方・栽培方法｜植物図鑑, https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-633/target_tab-2
【カーメン君】エリゲロンの育て方！夏越しと冬越し、植え替えや増やし方もご紹介！,(https://www.youtube.com/watch?v=RzxG8p4HRSg)
エリゲロンの仲間（種類）、品種, https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-633/target_tab-3
エリゲロンの育て方を徹底解説！ケア方法からおすすめの品種まで紹介, https://tokyo-kotobukien.jp/blogs/magazine/64966
「エリゲロン」の検索結果,(((https://shopping.yahoo.co.jp/search/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B2%E3%83%AD%E3%83%B3/0/)))
宿根草エリゲロン ‘プロスペリティ’, https://item.rakuten.co.jp/ogis/66pp/
エリゲロンの育て方, https://garden-vision.net/flower/agyo/erigeron.html
エリゲロンを育てるには？基本の手順を詳しく解説！, https://chibanian.info/12062025-7/
4月〜11月まで咲き続ける！「エリゲロン」, https://www.kateigaho.com/article/detail/148170
エリゲロンの育て方！グランドカバーや寄せ植えでの使い方をご紹介！, https://www.yu-kikobo.com/plants/46966/
植物栽培ナビエリゲロンの育て方, https://www.sc-engei.co.jp/cultivation/detail/5216/
ゲンペイコギク（源平小菊）、ペラペラヨメナ, https://www.zoezoe.biz/2010_syokubutu/ka_1_ka/213_kiku/erigeron/genpei.html
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ゲンペイコギク（源平小菊）／ペラペラヨメナの育て方, https://www.green-flower.club/2021/05/02/erigeron_karvinskianus/
ペラペラヨメナ, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%A8%E3%83%A1%E3%83%8A
放置気味でも長期間たくさん花が咲く注目の宿根草・エリゲロンの育て方, https://magazine.cainz.com/article/172975
エリゲロンの育て方・栽培方法｜植物図鑑, https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-633/target_tab-2
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エリゲロン（源平小菊）〜花の育て方, https://gardening-support.com/erigeron/
基本的な育て方, https://www.suntory.co.jp/flower/gardening/howto/
エリゲロン｜園芸植物小百科｜育て方, https://flower365.jp/03/912.html
エリゲロン｜初夏から秋まで花が咲くグランドカバー, https://lovegreen.net/perennial/p290371/
エリゲロンを育てるには？基本の手順を詳しく解説！, https://chibanian.info/12062025-7/
エリゲロン・スペキシオサスはどうやって剪定しますか？, https://www.picturethisai.com/ja/care/pruning/Erigeron_speciosus.html
エリゲロンの育て方・栽培方法｜植物図鑑, https://lovegreen.net/library/flower/p125541/
エリゲロンエーサーはどうやって剪定しますか？, https://www.picturethisai.com/ja/care/pruning/Erigeron_acris.html
エリゲロンの切り戻しは梅雨前の今がいい, https://ameblo.jp/silky0302/entry-12598604850.html
エリゲロンの育て方を徹底解説！ケア方法からおすすめの品種まで紹介, https://tokyo-kotobukien.jp/blogs/magazine/64966
エリゲロンの挿し芽, https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=17420
エリゲロン・スペキシオサスの増やし方, https://www.picturethisai.com/ja/care/propagate/Erigeron_speciosus.html
放置気味でも長期間たくさん花が咲く注目の宿根草・エリゲロンの育て方, https://magazine.cainz.com/article/172975
エリゲロン／ゲンペイコギク（源平小菊）の育て方, https://www.green-flower.club/2021/05/02/erigeron_karvinskianus/
サラガミネアズマギク, https://iwasaki.shop-pro.jp/?pid=172849116
イワアズマギクの育て方・栽培方法, https://www.picturethisai.com/ja/care/Aster_alpinus.html
ミヤマアズマギク, https://iwasaki.shop-pro.jp/?pid=23060595
チシマアズマギクの育て方・栽培方法, https://www.picturethisai.com/ja/care/Erigeron_peregrinus.html
アスターの育て方・栽培方法｜失敗しない栽培レッスン（草花）, https://sakata-tsushin.com/lesson-flower/detail_79/
アズマギクの育て方・栽培方法｜植物図鑑, https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-838/target_tab-2
宿根草の切り戻しや植え替え時期を解説！, https://lovegreen.net/perennial/p74508/
失敗しない切り戻し剪定のコツ【ガーデニングの基本】, https://fumakilla.jp/foryourlife/206/
ギュッと押すか、ふんわり植えるか。株分け後の植えつけのこと【庭づくりのヒント】, https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_tn_detail&target_xml_topic_id=engei_003684
キクの病害虫, https://www.takii.co.jp/tsk/bn/pdf/20120175.pdf
病害虫の発生しにくい栽培方法, https://www.jarokko.or.jp/grow/method_vege/
うどんこ病の原因と対策とは？発生後の対処法や農薬以外の予防に効果的な資材も紹介！, https://agritecno-japan.com/blogs/knowledge/udonko-disease-cause-countermeasure
アブラムシ対策と退治方法！発生させないための予防法とは, https://www.dcm-hc.co.jp/kurashimade/c_useful/20200608113957.html
植物にかかる病気の予防と対策を解説！,(https://matsumotoya-ueki.com/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%82%8B%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AE%E4%BA%88%E9%98%B2%E3%81%A8%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%82%92%E8%A7%A3%E8%AA%AC%EF%BC%81/)
宿根草とは？多年草との違いや防除方法を解説,(https://tsuna-ag.com/Dictionary/Detail/6#:~:text=%E5%AE%BF%E6%A0%B9%E8%8D%89%EF%BC%88%E3%81%97%E3%82%85%E3%81%8F%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%9D%E3%81%86%EF%BC%89%E3%81%AF,%E8%80%85%E3%81%8B%E3%82%89%E4%BA%BA%E6%B0%97%E3%81%8C%E9%AB%98%E3%81%84%E3%80%82)
「宿根草（しゅっこんそう）」とは, https://www.sakataseed.co.jp/glossary/term000983/
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しゅっこんそう【宿根草】, https://kids.gakken.co.jp/jiten/dictionary03200964/
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宿根草とはどんな植物？特徴や読み方を解説, https://magazine.cainz.com/article/96121
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こぼれ種で増える花15選！, https://magazine.cainz.com/article/97008
こぼれ種でどんどん増える！おすすめの一年草＆多年草12選, https://gardenstory.jp/plants/75762
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